《視点》現場の熱量

2025/05/02 06:23 更新NEW!


 首都圏を主体にした書店チェーンの有隣堂のユーチューブチャンネル「有隣堂しか知らない世界」が好評だ。20年2月に開始し、約380本の動画を公開、登録者数は35万人を超え、総再生回数は約9000万回に達した。

 「書店業界を取り巻く環境が厳しく、商品や接客での他店との差別化が難しい中で、企業や店のファンを増やす」(松信健太郎社長)目的で始めた。バイヤーや店舗スタッフなどが書籍や文房具などを紹介、ライブ配信もしている。マニアックなうんちくやこだわりを語る企画が好評で、人気ユーチューバーとなった文房具のバイヤーもいる。最近では「細かすぎる文庫本のこだわり」と題し、文庫本で使用する紙の手触りの出版社による違いなどを店舗スタッフが出版社にインタビューし、紹介する企画が特に人気だ。

 「外部の専門のプロデューサーを起用するとともに、熱量のある社員がアイデアをどんどん出していることが成功要因」という。文庫本のこだわり企画のスタッフも「文庫本愛」が強く、その熱量が視聴者に伝わった。現場の熱量はファン作りにつながる。

(有)



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