《視点》真逆の動き

2025/03/26 06:23 更新


 中国は経済の停滞から人手が余っている。日系繊維企業の駐在員によると、自動車や産業資材分野が厳しい分、繊維・ファッション業界に人材が流れているそうだ。「昨年は19人、今年は既に5人採用した」と話す。

 一方、日本は労働人口の減少などが要因で人手不足に悩む。繊維・ファッション業界への志望者は減少傾向にあり、ある企業は「質の高い学生を採用することが難しくなっている」点を課題に挙げる。会社説明会、インターン、学校との関係強化など工夫している。

 さらに最近の動きで多いのは、給与の引き上げ。別の企業は「学生にとって給与は大事な判断材料」と捉える。人手不足だけでなく、物価上昇の影響も大きい。

 対して、中国は不動産市場の低迷や消費者の購買意欲低下で物価が下落傾向にある。価格競争で収益の確保が難しいため、給与は上げられないそうだ。

 真逆の動きを見せる日本と中国だが、人材が資本である点は変わらない。優秀な人材を確保するための、業界や企業の魅力作りが急がれる。

(坂)



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