《視点》都市を離れて

2024/05/24 06:23 更新


 インバウンドの増加も手伝って、都内の商業地は大変なにぎわいだ。消費も活発で経済への好影響をうれしく思う半面、駅の通路や道路が満足に歩けないほど混み合っている状況に少し気疲れしてしまう。

 そんな時、新規オープンしたキャンプ場の取材が入った。のどかな里山に囲まれた環境で、常にホトトギスが鳴いている。夜にテントを抜け出して広場で横になれば、天然のプラネタリウムが広がる。元々アウトドア好きではあるが、こんなにも心が癒やされるものかと感じる時間だった。

 地元の人に話を聞くと、アウトドアブーム以降、あって当たり前だと思っていた豊かな自然の価値を再認識したという声が多い。「山と川しかない」ではなく「山と川がある」と言った方が正しい。

 欧州ではホリデーシーズンになると、皆が自然豊かな土地へ出かけるため、街は観光客の方が多いと聞く。残念ながら日本では長期のバカンスを取るのは難しい。ただ、オーバーツーリズムと言われる今、休日に都市から離れるショートトリップのニーズが高まりそうな気がする。

(夏)



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