離職率の低いある会社では、上層部の会議で「理想のチーム」について話し合う。「このキャラがいい役割するんだよ」と、スポーツ漫画のチームなどを例に語るラフなものだが、「そのキャラのような社員を評価するために必要な仕組み」まで考える。会社が目指すチームの姿を軸に、適正な評価制度を導き出す。
その会社にはノルマがなく、どれだけ売っても個人へのインセンティブ(報奨)はない。数を売るエースは必要だが、店舗で散らかった商品を人知れず片付ける人も「良い店」に不可欠だからだ。評価するならば「良いチームでの目標達成に貢献した人」だと社長は言う。
問題は、数字には表れない社員個々人の大事な働きを、見逃してしまうかもしれないこと。だからこの会社では、社の指針に沿って良い行動をした人を社員同士で称えるプラットフォームを導入し、現場社員の声を通して上層部にもその働きが届くようにしている。
社員の頑張りを知った社長は、チャットなり店舗まで赴くなりして「いつも見てるよ」と感謝を伝える。その姿を社員も見ている。
(桃)