《めてみみ》企業の価値

2025/06/04 06:24 更新


 最近、経営取材で話題になるのが業界の株価や配当政策だ。一昨年、東京証券取引所が「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」を発表した。昨年から新NISA(少額投資非課税制度)が始まり一般投資家が増えた。株主重視のトレンドは当面続きそうだ。

 決算発表では様々な施策が目立った。増配や自社株買い、PBR(株価純資産倍率)の適正化、DOE(株主資本配当率)など新指標の導入も相次ぐ。創業100年を超える老舗企業も相次ぎ大きな増配を決めた。

 企業価値を示す大きな指標の一つが株価にあるのは間違いないが、気になるのは物言う株主とも呼ばれるアクティビストの動き。最近は素材メーカーをはじめとする大手企業の株式を保有するケースも目立つ。

 大株主として投資先に様々な提言を行い、ともに企業価値の向上を目指す。このこと自体に異議を唱える人はいないだろうが、時に従業員や経営陣と摩擦を起こす。問題を難しくしているのが「企業価値」に対する考え方だ。

 歴史ある企業にはお金に代え難い財産がある。創業精神を象徴する事業や建物、公益法人などを大切に維持している企業の場合、多少の赤字でも欠かせないものがあったりもする。数字ではないこうした価値を、株主はじめステークホルダーに説明し、納得してもらえることも企業の重要な役割だろう。



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