昨年末から数回にわたり、リカバリーウェアを取り巻く問題を取り上げた。取材を通じて医療に関わる業界と、アパレル企業の意識の違いがはっきりとわかった。
医療機器は何らかの症状に対する効果が期待されて購入される。そうである以上、医療機器に関わるルールは厳格に守られるべき。専門的に医療機器に関わってきた企業にとっては基本的な心構えで、極めて慎重な印象を受けた。一方、業界外の企業はその心構えが当たり前ではない。
アパレル企業がこれまでリカバリーウェアの開発・販売を続けてきたのは、「疲労など体の不調に悩む多くの人の役に立ちたい」から。目的は同じだとしても、責任の重さを自覚し、慎重な医療機器業界に対し、広く訴求しようとしたアパレル企業。消費者に商品価値が伝わりやすい売り方を探るなか、結果的に適切ではない手段を取った。
問題の発端は行政にもある。認証のプロセスを経ない〝届け出〟という仕組み、届け出書類に対するチェック機能が働かずに不適切な届け出が増え、放置された状態が続いた。
とはいえ、厚労省が関連事業者の取るべき対応を公に示し、関連事業者に説明する機会も設けた。医療に関わる、あるいは医療の領域に触れてしまいかねない事業活動をする以上、認識を改め、消費者に対して誠実な対応に切り替えることが求められている。
(嗣)