クリーニングは、基本的に個人経営の店に出す。安い・早い系の大手チェーン店で、ボタンが欠けたり、溶けたり、生地が縮んでいたりと、何度か痛い目にあった後での防衛策だ。顔が分かり、店内で作業をされている店ならば、失敗は少ない。
引っ越すと、まずこうしたクリーニング店探索を始めるが、利用可能なエリア内にあるのが2~3軒。この10年ほどでかなり減った。中には、「営業してるのかな」という気配の店もあるので、選択肢は限られる。店主の平均年齢は70代半ばといったところか。事業承継がなされず、あらゆる業種で絶滅しつつあるパパママショップの典型例だ。そんな店が先月また一つ閉まり、にわかにクリーニング難民になっている。
探せばより専門的で高級なクリーニング店はあるが、日常使いにはハードルが高い。こんなところも二極化進行中かと感じる。中間層でも「これがいい」と思える質のサービスや商品を享受できた時代は、ある意味ぜいたくだったのかもしれない。多様な課題があり、手遅れ感もあるが、こうした店が存続できる仕組みや制度作りが、もっと進んで欲しいと願う。
(維)