《視点》ローカライズ

2022/12/14 06:23 更新


 今年、ある百貨店の宝飾売り場では価格改定前の駆け込み効果もあり、新規客がぐっと増えた。その多くは、ブランドのアイコンジュエリーを求める、宝飾初心者層。この後は、この層に各ブランドの幅広い魅力を知ってもらい、次のステップにつなげることが課題となる。

 幸い、この間ブランド側ではユニークな期間限定店や催しを頻繁に開いている。既にこうした催しへ招待し、「ブランドに親しみを持って頂けるようになっている」と手応えを感じている。

 かつての欧米ブランドは、本国主導のプロモーションで、憧れを喚起するパターンが主流だった。今もハイジュエリーイベントなどはクラス感のある会場や構成で行う一方、シーズンやコレクションによっては、ぐっと親しみやすく、なおかつローカライズした内容の期間限定店などを設けることが増えた。

 ブランドの世界を保ちつつ、多様な層の好奇心をも刺激するには、その土地の市場やムードをよく知るローカルスタッフの知見を生かすのが最善との認識に変わってきたのだろう。マインドの変化を捉え、マッチする仕掛けで消費者を魅了していく。その素早く精緻(せいち)な戦略はさすがだなと思う。

(維)



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