《視点》加工賃の値上げ

2022/09/27 06:23 更新


 原材料や物流費の高騰、円安が続くなか、アパレル各社も値上げの動きを強めている。もちろんテキスタイルも例外ではなく、多くの会社で価格転嫁を進めている。テキスタイルコンバーターからは「他の業界も含めこれだけ値上げの流れが強まっているので、比較的理解してくれる顧客が多い」との声を多く聞く。

 原材料が値上がりしているので当然とも言えるが、テキスタイル産地など実際の物作りの現場ではやや様相が異なるようだ。先日話を聞いた機業場は、供給された糸で製織し、織り上がった生地を産元商社などに納入する、いわゆる賃加工がメイン。織機を動かす電気代と人件費がコストの多くを占めるため、「なかなか加工賃の値上げが難しい」との話だった。「原材料の高騰なら値上げも通るけど、原材料を自分で買っているわけでもないし、価格決定権も無いからね」とも。物のコストは転嫁できても、人にかかるコストはなかなか転嫁できない現状を目の当たりにした。

 ただ、これだけ物価が上がる中で、機業場が従業員の賃金を上げられなければ生活は苦しくなり、業界に入ろうという若い人はますますいなくなってしまう。最近では海外生産への不安もあり、商品によっては国産回帰の動きも強まっている。値上げの理解が進む昨今、賃金を上げるチャンスを逃してはならない。

(騎)



この記事に関連する記事