《視点》早すぎるセールは

2022/06/17 06:23 更新


 夏のセールが始まる。一部では上顧客向けのシークレットセールを始めているブランドもある。随分前から聞かれる「セールは遅くならないか」や「夏の実需期にセールをするのはおかしい」などの声を今年も聞いた。セールを行っている施設やショップからも聞かれ、矛盾している。だが、思っていても前年実績や「他がやるので」などで改善しない。

 「安くなったから買おう」という消費者マインドは弱くなっており、不必要な物は買わない傾向が強まっている。以前のようにショッピングバッグを多数抱えた姿はあまり見られず、セールも盛り上がりに欠ける。売り場は期中対応や鮮度維持のためセール期間中でも新商品を投入するなど、まとまりもない。大量生産、大量販売からくる早めの在庫処分となっているセールだが、プロパー消化率低下による利益への影響もある。

 だが、コロナ禍を契機に、無駄な在庫は作らない、持たない、正価販売を強化するなど、企業の姿勢が変化している。SDGs(持続可能な開発目標)も後押しし、店頭在庫の削減や計画生産、ネット系の受注生産などで、以前ほどセールを盛大に行えないようになりつつある。消費者のセールへの期待が低下し、販売する側にも得策といえない早すぎるセールが、この機会に変わっていくことを期待したい。

(伸)



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