《視点》98.2%

2022/06/16 06:23 更新


 国内に供給される衣服のうち、輸入品が占める割合が21年は98.2%だった。比較可能な00年以降で最も高い割合だ。21年の国内衣類供給量は36億4200万点。コロナ禍前の19年は約39億8400点で、規模は大きく縮小している。20年よりは2%増えたので回復は見られたが、理由は輸入量の増加。一方、国内生産量は6.7%減の7500万点。00年に5億5100万点あった数量はずっと減り続けている。

 コロナ禍によるサプライチェーンの混乱に伴い、国内生産回帰の話題をたびたび聞いたので、生産量が増えた企業もあるだろう。しかし、国内生産量の減少に歯止めをかけるようなインパクトはなかったようだ。

 製造業の理屈としては、小さなオーダーが入った程度では潤わない。しかも定期的にオーダーがあるわけではなく、一時的なら人員を増やす、増設するといった判断はしづらい。このところ、フル稼働という製造業の話も聞いたが、生産能力を増やす判断ができないから、現有戦力で乗り切ろうとした企業は少なくないのではないだろうか。

 〝国産回帰〟という話題がアパレルメーカー側から出てくることがある。これを実現したいのなら、製造業と手を携えて持続・発展を見据えた生産計画を本気で考え、着手しないと国内生産の基盤を維持することはますます難しくなっていくはずだ。

(嗣)



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