《視点》RCEP

2020/12/04 06:23 更新


 RCEP(地域的な包括的経済連携)協定に15カ国が合意・署名した。日本はそのうちの多くの国とFTA(自由貿易協定)を結んでいるが、中国、韓国とは初となり、注目された。

 物品の関税引き下げや原産地証明に目が向きがちだが、ジェトロ(日本貿易振興機構)がリポートで大事な点を指摘していた。FTAは「関税引き下げが主目的ではなくなりつつあり、どのような国際経済ルールがFTAで設定されるのかが重要な問題」という。その問題においてRCEPは「中国の意向が反映され、日本の主張が通らなかった面が多い」と強調している。

 それは「投資に関する紛争処理」「電子商取引に関するデータ・ローカライゼーションの禁止」について。前者は例えばTPP(環太平洋経済連携協定)にあってRCEPにない。後者もTPPにある。RCEPも触れているが、「拘束性が問題」で「ルールが破られた疑いがあってもルール履行を追求する手がない」。

 社会、経済のデジタル化はコロナ禍で急速に進み、グローバル化への弾みもついた。これを促進するようなルールがRCEPに設けられなかったことは、日本企業の中国事業の自由度や競争力をそぐことにつながると考えられる。

(嗣)



この記事に関連する記事