《視点》虎とAI

2020/11/18 06:23 更新


 「セ・リーグの優勝は阪神タイガース」。今シーズンのプロ野球ペナントレースをAI(人工知能)はそう予想していた。

 昨シーズン(19年)のタイガースの防御率はセ・パ両リーグで最少と投手力の充実が数字に表れていた。プロ入り4年目の右打ち和製長距離打者の成長は著しく、元大リーガーのベテラン、リーグ新人最多安打記録保持者の若手も揃う。160キロ台の速球を誇る右腕の復活も期待された。しかし、猛虎は復活を前に〝会食〟という隙をコロナ禍に突かれた。9月にチーム内でクラスターを発生し、大幅な戦力ダウンを余儀なくされた。結果、ジャイアンツの独走を許した。

 IT分野の調査会社ガートナージャパンは、19年に「AIは幻滅期にある」と既に指摘していた。AIは過去のビッグデータを基に深い分析を行うが、非常事態が発生した際には、その精度に揺らぎが生じる。

 幻滅期においては、先行者の失敗事例も出てくることで、過剰に期待された状況から、技術の現実に気づき始める。しかし、この一連の過程を経てAIに対する現実的な理解が深まることで、幻滅期の底を打って本格的な普及期に入ることになる。「期待が幻滅に変わり、現実を受け入れることで醸成される」は、虎党だけではないようだ。

(民)


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