新型コロナの感染拡大がテキスタイル製造卸各社の業績にも影を落としている。国内見本市や個別展示会の相次ぐ開催見送り、出張禁止や在宅勤務の拡大などで商談機会が制約を受け、2月以降売り上げを直撃している。「この時期にあるべき現物発注が止まっている」「好調だったイタリア、スペイン向け輸出が壊滅的」など大きな痛手だ。
緊急事態宣言が全国規模に拡大し、長期戦となる見通しもある。「有効な手だては思いつかない」としつつも、それまでに整備してきたネット上の受発注システムやSNSの動画共有機能など、社内外のインフラを活用したテレワークが進んできた。
こうしたなかで目立っているのがマスク向けの素材需要。各社とも綿ガーゼの引き合いが活発で、減収分をカバーするまでにはいたらないにしても、社会貢献の機会として対応に真剣だ。
目の前の要請に応える一方で、大手を中心に終息後の市場変化を模索する動きも始まった。21年春夏企画の立案が進んでおり、「閉塞感や暗いムードを吹き飛ばす」提案で「必要とされる存在」を追求する流れが強まりそうだ。
(阿)