10月はラグビーW杯に、プロ野球日本シリーズ、ゴルフでは初のPGAツアーの日本開催などが重なり、日本はまさに「スポーツの秋」を満喫した感があった。来年の東京五輪開催に向けて、国民全体が追い風を感じただろう。そこに降って湧いた東京五輪マラソン・競歩の札幌開催、どこか気をそがれた気分になった。
アスリートファーストの視点で言えば、いかに対策を講じたとしても、猛暑の時期にマラソン・競歩を開催するのはいかがかと思う人は少なくないだろう。しかし、そもそも大会開催日程や競技時間の決定は、五輪の最大スポンサーとなっている米国テレビ局の意向に配慮して決定している疑念が拭えない。選手以前に米国テレビ局ファーストじゃないかと思うと、上から目線の札幌開催も何やらむなしく見える。
東京五輪開催の決め手のキーワードは「おもてなし」だった。もう一つのキーワード「復興」も今一つ感じられなくなった。誰のことを一番に考えるべきかとした時に、自己都合が少しでも差し込まれていると、急激に言葉は力を失うことに戒めを思う。
(樹)