インターネット普及後の消費者の購買動向プロセスとして有名なのが、電通が提唱した「AISAS」だ。アテンション(注意)、インタレスト(関心)、サーチ(検索)、アクション(購買)、シェア(共有)の頭文字をとったもの。長くマーケティングで活用されてきたが、やや制度疲労を起こしている。
メルカリは三菱総合研究所と共同で、シェアリング時代の新たな消費モデルを「SAUSE」と定義した。サーチ、アクション、ユーズ(一時利用)、シェア、エバリュエーション(評価)の略だ。スマホの浸透でリアルタイムに情報を探索し、売却を意識した情報も下調べしたうえで、新品を購入。モノは所有ではなく一時的に利用し、再販売した時の売れた価格でモノに対する評価を行うといった行動を示す。
日本の若者で流行している動画共有アプリ「ティックトック」を運営する中国のバイトダンスは「ALSAS」という考え方。アルゴリズム、シンパサイズ(共感)、アクション、シェアの順だ。情報が氾濫(はんらん)するなか、自力で欲しいコンテンツにたどり着くのは困難となり、AI(人工知能)のアルゴリズムによるサポートが必要とする。
消費者は劇的に変化し続け、購買動向はもはや一言では表せない。多様化する客への理解を深めることなしに、企業の存続はますます難しくなる。
(藤)