《視点》あるエシカル企業

2019/05/30 06:23 更新


 5年前、10年前と比べ、エシカル(倫理的な)という言葉を聞く機会が増え、エシカルな取り組みを行うファッション企業も増えた。

 取材先のチェーン専門店は、10年程前からフェアトレードを基本理念に掲げ、その概念と商品の普及に力を入れてきた。

 海外の生産者と共同開発した服や雑貨を扱い、フェアトレード認証商品の販売や、生産国の雑貨作りのワークショップも実施。エシカル消費や社会貢献に熱心な企業というイメージが定着し、その企業姿勢にひかれて同社を志望する学生も多いという。

 他社に先駆けてエシカルを打ち出してきた同社だが、収益力の低下を受けて3年前、異業種の企業グループの傘下に入った。不採算店の閉鎖などで増収基調に戻ったものの、利益面の回復が遅れて親会社の意向で春に社長が交代。新経営陣の許可が出るまでエシカル系イベントはストップし、社内に戸惑いが広がっている。

 確かに経営が安定しないと社会に貢献はできない。しかし逆にエシカルの取り組みで現場の士気を高め、ヒットを出し、集客や売り上げを伸ばす策もあるはず。社員も会社も早く元気になることを願っている。

(陽)



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