《視点》資本の論理

2019/05/29 06:23 更新


 「会社は誰のものか」。日本の上場企業としては珍しい〝敵対的〟に発展した伊藤忠商事によるデサントへのTOB(株式公開買い付け)では改めて「資本の論理」を見せつけられた。あまり聞いたことがないような企業間の非難合戦で、全国的な話題ともなった。

 デサントでは正式には6月から新たな経営体制となるが、激しい応酬だっただけに今後は社内融和が課題となる。社員では「元々、以前は伊藤忠から代々社長が派遣されていた」という声もあり、少し歴史をさかのぼったような体制となりそうだ。新体制では生え抜きの役員はいなくなるが、持ち前の「モノと売り場を創る力」に期待したい。

 日本では会社は社員や経営者のものという考えも強かったが、やはり上場企業ともなると社会的責任は重くなる。企業イメージの低下による販売への影響が最も危惧されるところだが、店頭ではコーポレートブランドの人気も上がってきている。日本のTOBやM&A(企業の合併・買収)は友好的、救済的なものが多かったが、これからは敵対的なケースも増えてくるかもしれない。

(茂)



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