《視点》これが「平時」

2019/05/15 06:23 更新


 今年のゴールデンウィークは最大10連休となり、国内外旅行を楽しんだ人も多かった。JTBは期間中の旅行者数を前年比1.2%増の約2467万人、特に海外は6.9%増の66万人と推測。総旅行消費額は3.7%増の約1兆円と弾いた。

 しかし、大手企業の経営トップは一様に不安や懸念を口にする。連休で消費支出が増えても、旅行消費とは競合する。実際、大手百貨店の期間中の売上高の伸びは期待を下回った。

 むしろ心配なのはこれからだ。政府は消費増税の予定を変えておらず、2%分の増税で「影響は比較的軽微」とも言われるが、「駆け込み需要は期待できず、反動減はある」という見方が大勢を占める。米中貿易摩擦の再燃で連休明けの株価は下落し、7月の参院選も「選挙の年の消費は上向かない」と言われる。

 こうした悲観材料を挙げてもきりはない。結局、株価は実態経済を反映しておらず、乖離(かいり)が広がっている。祝賀ムードも一過性に過ぎないだろう。これが「平時」と割り切り、そのなかでも持続可能で着実な成長の道を探る必要があるだろう。

(矢)



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