昨年のある期間、副資材の納期遅れが日本の中小ブランドの間で話題になっていた。グローバルSPA(製造小売業)やスポーツブランドからの想定を上回る受注や、システムの不具合、工場の人手不足などが重なり、数量が少ない中小ブランドにしわ寄せがいった。その副資材メーカーの社長は今回の問題を深刻に受け止め、「お客様には伏しておわびしたい」と話していた。
この間、実需期に引き付けた物作りが一層増え、とりわけ国内の製造業者の対応は難易度が上がっている。受注が重なって一時的に負荷がかかった場合、地方になればなるほど働き手も十分に集められずに納期に間に合わせることはきわめて難しくなる。
先述の副資材メーカーはこうした状況を見据え、以前からファクトリーオートメーション(FA)による生産ラインの省人化を強力に推進している。とはいえ、全ての製造業者がFA化投資をできる体力があるわけではない。製造業者側の取り組みも重要だが、発注側も取引先の事業継続性に配慮した生産・販売計画の組み立てがサステイナビリティー(持続可能性)の観点でも求められている。
(嗣)