日本アパレルソーイング工業組合連合会が運営する、適正工賃交渉支援のための「ACCTシステム」。導入した縫製企業の経営者に見せてもらったが、その質の高さに驚いた。
アイテム、仕様項目、素材や裁断、ロットの係数、余裕率など選択項目があるが、すごいのは仕様項目。襟や袖、ポケットなどパーツが細かく登録されていて、聞くとその数2万工程に及ぶという。各工程に何秒かかるのか登録されており、積み上げ方式で出た縫製時間に単価を掛けて工賃を算出する流れだ。
従来のような工程分析は必要なくなり、手間と時間が省ける。工程は全て印刷できるので、工賃交渉の際は、工程の取捨選択を表を付き合わせながらできるのも画期的だ。
これで100円工賃が上がれば月1000枚作る場合、単純計算で10万円の収入増になる。一方、導入費用は、アパ工連組合員は月2000円で済む。
問題は縫製企業がこれを導入するか。まだまだアナログで、ファクスのみでやり取りする工場もある。実際、その経営者も普及のため、他の工場に薦めているが「反応は鈍い」という。国内縫製業が生き残りの際にある今こそ、業界を挙げて普及を進めるべきだ。
(森)