今春も新たに開発された駅ビルやSCの開業が続いている。テナントにとって悩ましいのが販売員の確保。ある首都圏郊外のSCに遠隔地の専門店が出店したが、「めちゃめちゃ人手不足」で、現在は既存店のスタッフが1週間交代で新店の販売も担当。少し離れた場所のホテルに泊まり込み、電車で通っているという。
「新施設の開業時はアルバイトなどの時給が通常より200~300円つり上げられ、いい人材は大手に流れ、現地情報も知名度もない地方専門店は人を集めにくい。派遣会社に頼むと人件費が1.5倍以上かかるし、根本的な問題は解消されないので、他店を辞めた人が回ってくるまで待つしかないかも」と同社。
オープン時給の問題は全国的に深刻で、1、2年は時給相場が戻らず、周辺の店舗にとっても影響が大きいと聞く。相乗効果で回遊客が増えて潤う地元店もあるだろうが、地方では「人材市場が荒らされる」と地元の店舗や商店街がSCなどの進出を嫌がる例は多い。
既にオーバーストアの状況で、新施設が必要なのかも疑問だが、建てるだけでなく、働き手の確保と紹介まで開発側に求めるテナントの声は強まっている。(陽)