イオンモール松本、プライムツリー赤池など、この秋も大型SCがオープンした。それぞれに最新のテナント揃えや機能を盛り込み、地域の競合関係を変えながら定着を目指していくことだろう。
とはいえ数年前までは12月の初めにオープンするSCがあった。書き入れ時の年末にかけての時期を取り込めるギリギリのタイミングまで各社の新施設開業が続いていた。それを思えば今年は落ち着いた秋だった。
ECとの競合により物販が縮小される懸念が強まり、販売スタッフの確保も難しいため、テナントが新規出店をためらう傾向が強まっている。建設コストも高止まりしている。大手ディベロッパーは開発物件を〝厳選〟するようになっており、大型SCの開発を凍結しているところもあるから、開発ラッシュが戻ることはしばらくなさそうだ。
オーバーストアが言われ続けてきた。開発物件が減れば、いままで以上の競合にさらされるところも少なくなるだろう。そうなれば、いま得ている支持がそのまま維持される。既存施設の財産としての価値が高まるかもしれない。もちろん、少子高齢化、人口減で市場が縮むのは見えているから、現状維持にも努力は欠かせないが。(光)