グローバル化やデジタル化が進み、ファッション産業の構造や取り巻く環境が大きく変わるなか、多くの企業が経営難に直面している。先日の取材で「ファッション企業は危機の時だからこそ、原点回帰が必要。何のために存在するのか、今すべきこと、自社の使命は何かを改めて考える必要がある」という話を聞いた。
「ファッションとは何か、自社の顧客の今の要望に合わせ、どんな価値を提供すべきかの再定義から始めるべき。人々を喜ばせ、幸せにしたいという経営理念の根本を確認すれば、現状を打開できる」との指摘を受け、ユニフォーム業界で好業績を続ける大手2社の取り組みが頭に浮かんだ。
学生服メーカー最大手の菅公学生服は、教育ソリューション事業を強化している。学校運営などの悩みに広く応える姿勢が、企業としての信頼と、学生服の受注につながっている。医療白衣メーカー最大手のナガイレーベンは資生堂と協業し、モノ・コトの両面から看護師を応援する取り組みを新たに開始。ナースウェアの新ブランドと、看護師のための美容講座を共同で開発し、来年から提供する。
モノだけではない幅広い価値の提供、モノだけではない関係作りが求められる時代。自社の存在意義について再考してみたい。(陽)