樹脂や金属を使ってオンデマンドで立体物を制作できる3Dプリンターが注目されている。工業製品の試作やフィギュアといった用途で先行するが、いずれ量産品にも普及が進むと見られている。
既に欧米では製造受託サービスが普及し、高性能プリンターを活用したインフラが整う。有力スポーツブランドもソールを3Dプリンターで作ったスニーカーを発表した。一方、日本は欧米に比べ、この分野で大きく立ち遅れている。
この違いは何なのか。最近、聞いた専門家の話が興味深い。それは「日本には優れた金型技術があるから」という。精密、高品質な金型技術があるため、新技術を導入する動機に乏しいというのだ。一方の米国は既に金型産業は壊滅状態。そこで国家を挙げたプロジェクトが進んだ。いわば、焼け野原からイノベーションが生まれた。
テキスタイルの分野でも、デジタルプリントが普及する伊コモ産地は、伝統的なシルク産業が壊滅的になったところを新技術で起死回生した。これも日本には優れた捺染技術があり、普及は進んでいない。
(恵)