ユニクロが「ライフウエア」を打ち出すわけ

2016/11/18 19:11 更新


 ユニクロは17年春夏向けの商品でジーンズ、スポーツウエアを強化する。同社は今秋からグローバルで「ライフウエア」を前面に押し出したキャンペーンも始めており、自社製品の品質やデザイン性の向上とブランディングと同時進行で行うことで、消費者の抱く「ユニクロ」のイメージを今より高めていきたい考えだ。

 18日に開いた17年春夏物の展示会で、大きくスペースを割いていたのは「デニム」のコーナーと、「ユニクロスポーツ」。カジュアルシーンで使用頻度の高いアイテムや分野のレベルアップや商品拡充に力を入れている。

 ジーンズはコア商品のひとつだが、来春夏向けではダメージ加工のバリエーションを増やす。表面の縦糸を削り、横糸が覗いていたり、空いた穴を別のデニム生地で補修していたり、裾をわざと切りっぱなしにしていたり、「表情」に工夫を凝らしたものが多い。

 ユニクロスポーツでは、速乾性がウリの「ドライEX」を布帛で使ったパンツやコンプレッションタイツなど、日常着る商品や実際に体を動かす際にも使える商品を増やす。

 この間、ユニクロを擁するファーストリテイリングは、東レとの協業に加え、島精機製作所との合弁、LAに自前のデニム製品の研究開発施設を作るなど、相次ぎ、商品力強化に向けた施策を打っている。これと連動して行っているのが「ライフウエア」のキャンペーンだ。

 

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(ユニクロのホームページより)

 

 ライフウエアとはユニクロが定義する「究極の日常着」のこと。日常生活全てをカバーできる、どんな人の生活にも合う服を作り、売ろうという同ブランドの姿勢を表わしている。今秋から日本でもテレビCMなどがスタートしたこのキャンペーンは、ユニクロのクリエイティブ面をグローバルで統括するジョン・C・ジェイ氏が全世界向けを監修して行っている。

 CMでの「何故、服を着るのか」の問いかけは消費者に対してだけでなく、ユニクロで働く人たちに向けたメッセージでもある。ジェイ氏は「ユニクロの服はシンプルなものだが、シンプルには完成がない。より良いものを次に作っていくには、何故を自問し、考えることが必要」と話す。服に対する考え方を消費者に伝えることがユニクロが今後も成長を持続するために必要なブランディングと見ているようだ。



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