ユニクロは9月5日、新聞広告や特設サイトで商品値上げに関する告知を出した。値上げについて広告やサイトでスペースを割いて説明するのは初めて。フリースなどコア商品の値上げを決定した際、同社は客に値上げの理由を直接伝える考えを示唆していた。
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「ユニクロのフリースが2990円になる理由」と題した広告を日本経済新聞など全国紙のほか、地方紙35紙に掲載した。94年に1900円(本体)で発売し、21年秋冬まで税込み1990円だったフリースを今秋冬から2990円に値上げする理由を製造コストの上昇であると説明。値上げは一部商品で、全品番の8割の商品の価格は据え置くとしている。
特設サイトでは、11問のFAQで、値上げの理由、上昇した製造コストの詳細を伝え、原材料費は94年より5倍、物流費は3倍、主要生産拠点である中国の人件費は15倍以上に上がっていることを説明。値上げするフリースは生地の目付けを上げ、品質を向上させるなど同じ商品の価格をそのまま上げるのではない点も伝えている。
フリース以外にダウン、カシミヤ、エクストラファインメリノ、スフレヤーンのニット、「ヒートテック」の「極暖」「超極暖」、フランネルシャツ、ウォームイージーパンツ、ブロックテックなど、全品番の2割に当たる値上げ商品についてもサイトでは伝えている。
岡﨑健取締役グループ上席執行役員CFO(最高財務責任者)は7月の第3四半期決算の会見で、円安や製造コスト上昇に関連して「環境は深刻だ。値ごろ感が通じる商品と通じない商品をしっかり見極め、価値を感じていただける商品を作り、提案する」とし、秋冬の値上げは「なぜこの価格が適切と判断したか、しっかり説明したい」とコメントしていた。
特設サイトでも、これまでしてこなかった値上げの告知を今回はあえて行った理由を、「あらゆるコストが上がる中、価格を維持するために品質を犠牲にするという選択肢はない、というユニクロの企業姿勢を、お客様に直接、正しくお伝えしようと考えたため」と説明している。