土屋鞄製造所は6月9日、「土屋鞄製造所」渋谷スクランブルスクエア店で米ボルト・スレッズ社と共同開発したキノコの菌糸体由来の新素材を使ったランドセルなどのプロトタイプを発表した。同店で6月30日まで展示する。
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土屋鞄製造所は昨年、ボルト社と資本業務提携し、昨夏からボルト社が開発したキノコ菌糸体から作るレザー代替素材「マイロ」を採用した商品開発を進め、ランドセル、かばん、小物などのプロトタイプ6型に仕上げた。土屋鞄製造所の大人向けレザーグッズ、ランドセルのほか、ガジェット収納などのレザー製品ブランド「オブジェクツアイオー」の3分野に採用した。
マイロは100%再生可能なエネルギーで稼働する垂直農法施設で生育するキノコの菌糸体を泡状の素材にした後、生地に加工するサステイナブル(持続可能)な素材で、革のようなしっとりした表面感や上質な風合い、質感を持ち、細かく柔らかいシボも表現している。菌糸体が生育する2週間程度を含め、6週間で生地に仕上がるため、今後の安定した供給体制が見込まれるほか、3年の育成期間のかかる牛の革と比べて環境負荷も大きく抑えられる。
土屋成範社長は「革新的な技術による素材を当社の職人技により新たな物作りを進めていきたい。牛革への関心が低く、環境意識の強いY世代、Z世代を中心に広げていきたい」と語った。
ボルト社のダン・ウィドマイヤーCEO(最高経営責任者)は日本からも多くの提携希望企業があった中で同社と組んだことについて「クラフトマンシップや物作りへの深いコミットメントとともに、イノベーションの姿勢を非常に感じた。素材としてはまだまだ改善できるし、いかに量産していくかが課題」と述べた。
年内に財布1型の発売を目指している。耐久性や経年変化などを検証した上で、ランドセルやかばんも商品化していく。