東レと産地企業などで作る東レ合繊クラスターは新たにDX(デジタルトランスフォーメーション)推進部会を新設し、データの可視化、ロスの削減などに取り組む。6月2日、金沢市内で開催した第19回定時総会で決定した。
総会後に記者会見した宮本徹クラスター会長(丸井織物会長)、佐々木康次クラスター東レリーダー(東レテキスタイル事業部門長)らによると、22年度のクラスター加盟企業の出荷額が185億円と過去最高水準になった。輸出を含め、スポーツカジュアル、アウトドア向け素材が好調、円安がこれをさらに押し上げた。
ただ、今期に入って「潮目が変わった」としており、欧州などでの消費の停滞と、昨年の急回復に伴う生産拡大で「オーバーシュートした」流通在庫が増えていることなどに警戒感を示した。その上で、クラスター企業の協業で「価値を認めてもらえる商品の開発、売り方」に磨きをかけると強調した。
新設したDX推進部会は各社の現状にばらつきがある中で、「現場密着型で一歩でも二歩でも前に進みたい」と意欲を表明。原燃料のコストアップや人手不足など厳しい事業環境の中で、「産地の常識そのものを見直すチャンス。DXをそのためのツールに使う」ことで、無駄やロスの削減に大きな効果が出るとの期待感を示した。
23年6月時点でのクラスター参加企業は、正会員70社、賛助会員15社の計85社。