東レのスポーツ・衣料資材事業部は、今期の販売が予算を達成するペースで推移するなど、好調を持続している。スポーツ分野だけでなく、ファッション衣料などジャンルを超えて世界的に広がる機能素材への注目を追い風に、「本物の機能を訴求していく」(浅田康治事業部長)方針だ。
(中村恵生)
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同事業部はスポーツ向けテキスタイルや裏地を扱う。今期はスポーツの国内、輸出、裏地とも販売順調で、上期は前年同期比増収増益で予算も上回る見込み。スポーツは高機能ラインの打ち出しなど国内アパレルの戦略にはまっているほか、カジュアル化やライフタイル化の流れも捉えて広がっている。
けん引するのが、バイメタル構造の糸を使ったストレッチ「プライムフレックス」。仮撚り加工に加え、糸そのものが持つ潜在捲(けんしゅく)による快適ストレッチが幅広い用途で使われる。ファッション衣料、カジュアル衣料を含め、プライムフレックスとして16年度売上高62億円で前年より5%伸ばし、さらに今年度は2ケタ増の75億円を見込む。
アスレジャーのトレンドや一般衣料での機能素材の打ち出しが広がっているが、「〝機能のコモディティー化〟が起こる中、本物の機能性が求められている」とし、プライムフレックスのほか、蒸れを軽減するナイロン「モイストプラス」、吸水速乾の頂点素材「フィールドセンサー秒乾」など、合繊メーカーならではの本物機能をアピールし、ビジネスにつなげていく。
マザー工場である国内の生産背景を生かして新しい素材開発や機能を進化させる一方、グローバルなサプライチェーンも活用し、海外グループ工場への生産移管も積極的に進める。
また、香港の丸編み大手、パシフィック・テキスタイルズ・ホールディングスへの資本参加では、スポーツ事業として積極的な連携を検討。ニットが主力となっているグローバルスポーツブランドなどの開拓を狙う。