東レ・オペロンテックスは、今期スタートした中期計画で、健康や医療関連のライフイノベーション事業(LI)を強化する。この間進めてきた産学研究をベースに、着圧を生かした製品事業にも乗り出した。
(中村恵生)
製品事業は、昨年後半から開始した。着圧製品の自社ブランド「メドラボ」で、ふくらはぎのリンパの流れを促す靴下を開発した。同社のスパンデックス「ライクラ」で培った着圧技術を生かし、産学共同のテストを経て商品化した。
このリンパソックス以外にも、医師と共同開発のひざサポーターや、ひざの皿を固定するサポーターを企画。ひざサポーターは左右非対称のオリジナルデザインで効果を追求し、特許も取得済み。いずれも医療器具ではなく、日常の健康をサポートするグッズとして、既存客とは重ならない販路で販売を始めた。
同社は11年から「美と健康」を切り口に、滋賀工場に設けた美健ラボで開発を進めてきた。昨年は、ベージュ原着糸を開発して医療用ストッキングやサポーター向けの特品原糸を揃えるなど、成果が生まれている。
LI関連は、今後も専門家や東レ本体の着圧素材の開発チームとも連携し、「健康や長寿に貢献するような開発を進めていきたい」(寺嶋伸一社長)という。また、東レの繊維事業の中期テーマでもある不織布事業とのシナジーも追求し、紙おむつなど衛材用途でも高度化させる。
中計はこれら新規分野も開拓し、3カ年で増収増益を計画する。16年度までの前3カ年中計では、14年度がつまずいたが、後半2年は巻き返し、最終年度は「目標に近いところまで到達した」。特に紙おむつ用途の販売が着実に伸びており、16年度は在庫調整局面だったものの、引き続き成長に期待する。衣料用途も市況が厳しい中で健闘し、有力客との取り組みが進展した。