若手を中心とした東京のメンズブランドは、24年春夏向けで女性的な柔らかさを持った着こなしを増やしている。歴史的なメンズウェアのコードをそぎ落とすように、変化したアイテムを提案している。ジェンダーフルイドの延長で、東京らしいミニマルさを感じさせるスタイルが目を引いた。
（須田渉美）
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「ユウキハシモト」（橋本祐樹）は、ハイライトをテーマにベーシックスタイルを変化させた。アイコンとなるのは、昨シーズンから取り入れる胸元を折り返してボタンで留めるY字のディテール。ジャケットのように見えるプルオーバーは、繊細な肩の輪郭とさりげないドレープ感がスマートな男性像を感じさせる。ポロシャツも片側の襟と前立てを右にずらして留める仕様で、フロントに入った折り返しの線がエレガント。トラッドで程良く抜け感のあるバランスに仕上がった。
日本人のダンディズムを提案する「ソウシオオツキ」（大月壮士）は、デビュー時から掲げる無骨な男性像を崩し、男らしさにとらわれないアプローチで二面性を表現した。ハイゲージのセーターやベスト、ジャージーアイテムには、婦人服でデコルテを美しく見せるスクエアネックを応用した。天幅を短くし、紳士服のバランスに寄せて艶っぽさを出した。ステンカラーコートはきもの袖のような作りでマント風に着用できる。メンズの定番に違和感を添え、軽やかなシルエットで新鮮さを出した。これまでビジュアルチームも全て男性だったが、ルックの撮影は女性の写真家、野村佐紀子さんに依頼した。柔らかな陰影によって、自然体のダンディズムを感じさせる。
