teamLab : Au-delà des limites/境界のない世界
「マニフィック!」(すばらしい!)
「楽しい!」
「こんな体験、初めて!」
「ワーッ!スゴイ!!」
「帰りたくない、1日中ここにいたい!」
「!」付きのフレーズばかり耳に飛び込んでくる。
ここはウルトラテクノロジスト集団チームラボの展覧会、「境界のない世界 / Au-delà des limittes」。パリのカルチャーパーク、ラ・ヴィレット / La Villette 内、2000平米の巨大なホールで、9月9日まで開催されています。
今年は日仏友好160周年。「境界のない世界」は、これを記念する複合型文化芸術大イベント「ジャポニスム2018」のプレ開幕を飾り、各メディアで大絶賛!すべての人が楽しめるデジタルアート空間は、夏のヴァカンスシーズンにさらに話題を集め大ヒットを飛ばしています。
多次元のアート
チームラボのライトモチーフの一つ、「境界」。
本展のプレス会見でチームラボ代表猪子寿之さんは、「人と人との間にある境界、作品と作品との間にある境界、人と作品の間にある境界、世界にある境界について考え直す展覧会を作りたかった」と本展のコンセプトについて話しています。
「鑑賞」するアート展をまたいで、ここでは、人と作品が繋がり影響し合いながら、まさにデジタルにしかできない多次元のアートが終わることなく広がっていきます。
そこには美しい世界が
ところで「境界」って何でしょう?土地や物事のさかい目、パワーの及ぶ範囲、個人の境遇や境涯…
チームラボの大木絵美さんは、「境界のない世界」についてこうお話してくれました。
「様々な理由で作られてきた境界。例えば、本当は陸も海も世界は連続しているのに、人間が国境を作ってしまいました。人や物質によって作られた境界のない世界はすごく美しいものを持っていると思います。実際にいろんな境界をなくしていくとすごく気持ちいい、そして、この世界はすごく美しい、と思っていただけたら、これほど嬉しいことはないです。」
展覧会場には作品を俯瞰できる場所が設けられています。
「私」はこの場所から、高さ11メートル、幅26・5メートルの「Au-delà des limites に降り注ぐ憑依する滝」の作品を見ます。そこにはその滝から現れた美しい花の前に立つ赤の他人がいます。でも作品を上から見ている「私」にとって「その人」は作品の一部、そして「その人」が作品に触ることで、作品に変化を起こしている人にもなる。もう「私」と「その人」は他人同士ではありません。
こうした作品を通して、人と人との新しいポジティヴな関係ができてくる。ルーヴル美術館の『モナリザ』鑑賞では起こりえないことですよね。
カラスが滝の空間を通り、花に触れると花びらが散り、「世界は暗闇から始まるが、それでもやさしくうつくしい」に現れる文字に触れると、その文字がもつ世界が描かれる。
デジタルが絵のフレームをなくしてしまうことで、ここでは作品と作品の融合、コミュニケーションが生まれ、それがリアルタイムに、花、動物、踊る集団が交わるりお互いに変化を与えあう一度限りの美しいポエティックな瞬間が描き続けられてゆきます。
19世紀後半、北斎の浮世絵が欧州に巻き起こした芸術運動「ジャポニスム」。2018年、チームラボが、境界のない日本画的空間における一期一会のこのデジタルアート展で「ジャポニスム」をヴァージョンアップ! チームラボが願う世界と美を繋げながら。
インフォメーション
【会場】LA VILLETTE / 211, Avenue Jean Jaurès 75019 Paris
【休館 】月曜日
【URL】https://www.teamlab.art/e/lavillette/
松井孝予
(今はなき)リクルート・フロムエー、雑誌Switchを経て渡仏。パリで学業に専念、2004年から繊研新聞社パリ通信員。ソムリエになった気分でフレンチ小料理に合うワインを選ぶのが日課。ジャックラッセルテリア(もちろん犬)の家族ライカ家と同居。