ミラノとパリでの見本市を皮切りに、25年春夏向けの素材商談が始まった。23年後半から市況の厳しさが出始め、足元の業績はまだら模様。先行きの不透明感を口にする声も多い。各社は小ロット短納期やサステイナブル(持続可能な)対応、高級原料使いなど、様々な付加価値を付けて収益を確保する状況にある。
(三冨裕騎)
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前向きだが注意深く
世界的なインフレで消費が減速、リベンジ消費も一段落しつつあるが、オケージョン需要の回復など明るい要素もある。一方、フランスで循環経済のための廃棄禁止法(AGEC法)が施行されるなど環境関連の法整備も進んできた。そのため認証やトレーサビリティー(履歴管理)への関心が一層高まり、在庫をなるべく持たずに生産する動きも世界的になっている。
「バイヤーの雰囲気は新しいものを探そうとしていてポジティブだが、在庫を持たないようにと注意深くもなっている」と話すのはファリエロ・サルティ。オケージョン需要が復活し、ラメなど華やかなものも引き合いがあるが、ソフトな風合いで着心地が良いものが実際には多く売れている。