コーデュロイ・別珍の静岡・天龍社産地

2016/01/08 06:55 更新


「失われつつある産地を残したい」

 秋冬ファッションを彩るコーデュロイ・別珍。その国内唯一の産地であり、縮小が深刻化する静岡・天龍社で、コーデュロイの生地ブランド「ベコ」が誕生した。地場の機屋、カッティング加工場、技術センターが協業して、幾何学柄のコーデュロイを開発。〝海外では生産できない〟技術を使った新しいコーデュロイで、失われつつある産地の再興を目指す。

 動き出したのは、テキスタイルメーカーの福田織物、コーデュロイ加工の星野カッチング、浜松工業技術支援センターの3者。70年代以降続く縮小で、〝末期状態〟となった産地に危機感を覚え、12年に開発に着手した。3年間試作を繰り返し、15年11月の素材展示会プレミアム・テキスタイル・ジャパンで、福田織物が約20マークを発表した。

 一般的にコーデュロイはストライプの畝(うね)が特徴だが、ベコはジャカード、ドビー織機で織った細かな幾何学柄が特徴だ。「国内の優位性を訴求するには、海外にはできない技術が必要」と、今までにない新しい柄のコーデュロイを企画。織機の調整や加工工程の工夫で、毛羽抜けなど耐久性もクリアした。

高い技術を持ち自立した機屋でも、職人の高齢化は課題だ(写真はカネタ織物)
高い技術を持ち自立した機屋でも、職人の高齢化は課題だ(写真はカネタ織物)

 

 天龍社産地

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 静岡県磐田市、掛川市、袋井市、周智郡に広がる国内唯一のコーデュロイ・別珍の産地。国内品の95%は天龍社産だが、今や国産比率は1%とされており、他産地以上に廃業や高齢化が深刻化している。

 天龍社織物工業協同組合によると、ピークの73年は1620社の機屋があったが、14年は88社まで減少。残った機屋でも、採算の良いシャツ地に転換した工場が多く、コーデュロイや別珍を手掛けるのは1割程度といわれる。 

 剪毛やカッティングなどコーデュロイ・別珍に欠かせない加工は、手作業が多く高い技術が必要なため、他産地への生産移転が難しい点も縮小の一因だ。01年、国内加工の50%以上を担っていた大日本ビロードが廃業。最盛期は600以上あった加工場は、15年は10社にまで減少した。残る工場でも 60~70代が大半で、高齢化対策が課題となっている。

続きは繊研新聞で



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