ブルックリン次の新興エリア?ベッドスタイ(杉本佳子)

2018/05/21 05:58 更新


ブルックリンの「ベッドフォード・スタイヴェセント」、通称「ベッドスタイ」は、ウイリアムズバーグの南東に位置する。マンハッタンのダウンタウンからは、地下鉄のAトレイン(急行)で約30分。アフリカ系アメリカ人とカリブ海諸国からの移民が多く、ブルックリンの中でも特に治安の悪いエリアの1つとして知られてきた。

しかし、マンハッタンやブルックリンの家賃の高騰に伴い、家賃が比較的手ごろなベッドスタイに移り住む白人やアジア人が最近急増している。ベッドスタイに13年前から住んでいる人によると、治安も急速によくなってきていて、「変なジャンキーやドラッグディーラーがいなくなった」という。

中でも特に急に変わってきていると多くの人が口を揃えるのが、トンプキンズアベニュー沿いの数ブロックだ。駅の周辺は雑多な繁華街だが、駅から徒歩10分くらい離れたトンプキンズアベニューは、閑静な住宅地。急速に変化しているといっても、のんびりした振る舞いがブルックリンらしい。


変化を表す最も象徴的な店は、トンプキンズアベニューとモンローストリートの角にある「Sincerely Tommy」。店の手前はコーヒーショップで、奥が古着と新品、小物を売る「Sincerely Tommy」になっている。



別々の借り手が場所をシェアしていて、気に入ったヴィンテージのコートがあったので買おうとしたら、コーヒーショップの店員が「そっちは2時にならないと人が来ないから、俺には売れない。2時以降に戻ってくれば」と言われる始末。値段はものによって高いもの、手ごろなものがあるが、服もジュエリーも雑貨もセンスが良い。キャンドルも、火をつけるのがもったいないような可愛いキャンドルが売られていた。


一方、「T.N.T Concept Store」は昨年8月にオープンした。アフリカでエシカルな環境でつくられたものを集めて売り、アフリカで生産した別注商品もある。そこに、ニューヨークの若手デザイナーのものをミックスして売っている。


例えば、南アフリカに多く生息するスプリンブボックの毛をブルーに染めたバックパックはT.N.T Concept Storeのオリジナルだが、その上にかけてあるバックパックはブロンクスのデザイナーのもの。右手のクラッチバッグはアフリカ製で、蓋を開けるとアフリカらしい鮮やかで大胆な色柄のプリントの裏地が目に入る。


「KOOAN」の愛称で知られるニューヨーク在住の日本人デザイナー、大川公輔さんのオリジナルプリントのTシャツと小物も売られている。大川さんによると、他の店に売り込みに行ったら「ラインシートもってきて」と言われたが、T.N.T Concept Storeのオーナーのファライ・シモイさんは、「ラインシートなんかいらない。気に入ったからすぐ売る」と言ったとか。

シモイさんはジンバブエ出身。2週間後が出産予定日という時に、大川さんのコレクションのお披露目パーティーもしてくれた。大川さんが着ているTシャツは刻んだネギの柄で、手に持っているのはサバ柄。日本食レストランでアルバイトしている最中に思いついた柄という。


T.N.T Concept Storeのはす向かいには、5か月前にオープンしたアフリカ系の店がある。プリントの服はハーレムでも同様のものがよく見られるが、変わった石鹸やボタンが可愛い。


アフリカ系の女性が4人でやっている店で、奥に子供を遊ばせられるスペースを設けて、子供の面倒を見ながら店を切り盛りしている感じだ。


レストランは、オーガニックフードが売りの「Eugene & Co.」がこの界隈ではお洒落。ランチはサラダとサンドイッチが中心だ。きれいなピンク色のハイビスカスのカクテルもしゃれている。



89年秋以来、繊研新聞ニューヨーク通信員としてファッション、ファッションビジネス、小売ビジネスについて執筆してきました。2013 年春に始めたダイエットで20代の頃の体重に落とし、美容食の研究も開始。でも知的好奇心が邪魔をして(!?)つい夜更かししてしまい、美肌効果のほどはビミョウ。そんな私の食指が動いたネタを、ランダムに紹介していきます。また、美容食の研究も始めました(ブログはこちらからどうぞ



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