スパイバー 米穀物メジャーと提携 構造たんぱく質素材を米国で量産

2020/10/07 06:27 更新


スパイバーの構造たんぱく質素材「ブリュード・プロテイン」

 バイオベンチャーのスパイバー(山形県鶴岡市)は、穀物メジャーの一社として知られるADM(米イリノイ州)との間で、スパイバーが開発する人工の構造たんぱく質素材「ブリュード・プロテイン」(BP)の米国での量産について協業する契約を結んだ。ADMは植物由来のグルコースを原料にBPの発酵生産を担うとともに、ADMによる商業規模での生産に関する知見や、プラントエンジニアリングやオペレーションのノウハウとスパイバーの技術を統合し、「今後の商業規模生産に向けてパートナーシップを拡大させる」という。

(小堀真嗣)

 両社は19年12月から、長期的な協業を見据えて連携を始めていた。これまで、ADMが米国内で保有する生産設備を活用し、試験生産などの実証実験や必要データの取得など協力して進めてきた。その結果、BPの量産体制の構築に向け、業務提携および製造委託について合意し、今回の契約に至った。これに伴い、スパイバーはADMを割当先とする第三者割当増資を行い、59億円を調達。ADMは大株主の一社となり、スパイバーの事業を支援する。

 今後、ADMが米国で生産したBPは、スパイバーの加工拠点である鶴岡市に運び、繊維や樹脂、フィルムなどに加工され、アパレルや自動車部品、毛髪用途などで活用を見込む。現在、スパイバーもタイでBPの発酵生産プラントを建設中。21年には年産数百㌧規模のプラントが稼働する予定だ。

 一方、ADMによるプラントが稼働すると、年産数千㌧規模になる見込み。稼働は「数年先になる」(スパイバー)という。関山和秀取締役兼代表執行役は「BP1キロ当たり50ドルを実現できれば市場は広がる」としてきたが、ADMのプラントが稼働すればクリアできる見通しだという。



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