専門店は自社の世界を表現するために服をセレクトする。セレクトした服は全て、その店の世界を構成する重要な要素だ。それでも専門店が年月を重ね、世界の地平を広げるにつれ、ピースの欠けたジグゾーパズルのように、セレクトだけでは埋まらないパートが見えてくる。専門店のオリジナル品は、店の世界を表現するセレクトの一部であり、顧客に店のセレクトをより魅力的に提案する。服に限らず異分野のオリジナル品であっても、魅力ある提案が顧客をひきつけ、来店を促している。
フウク(愛知県豊田市) 地元の陶芸作家と協業の香木スタンド
潜在需要にヒット
専門店のフウク(愛知県豊田市)は、21年夏から、地元・豊田市の陶芸作家と協業で作った、香木を立てるパロサントスタンドを販売している。服を軸に、〝生活を豊かにする〟アートやインテリア、フレグランスも扱う同店のコンセプトを体現したオリジナル商品だ。
パロサントとは、燃やすと煙と共に香りの広がる香木のこと。店主の藤井雅之さんは18年に店をオープンして以来、お香やキャンドルなど生活を豊かにする香り物のセレクトも充実している。
21年5月に国内のフレグランスブランド「ダンロウ」がパロサントの販売をスタートした際、そのビジュアルやブランディングにほれ込んだ。当時パロサントはしっかりとブランディングされたものがなかったというが、同ブランドがパロサントを高い価値で世に広める契機になると感じ、扱いを決めた。