東京下町の町工場×異業種、無電源スピーカー

2017/02/20 06:04 更新


 東京下町の町工場の3、4代目の異業種協業による新製品の開発が始まった。アイテムは世界初というアクリル樹脂製の無電源スピーカー。音楽を好きな場所で楽しもうというコンセプトだ。2人は同世代で同じような環境に育ったことから意気投合、共鳴し合って独自の商品を生み出そうとしている。

 このプロジェクトのメンバーの一人が足立区にある合成樹脂切削加工、オーエムの大村公史さん。同社の4代目という環境で育った。長く企業を存続させるには精密な技術を生かした製品開発が必要と考えた。

 もう一人が葛飾区の町工場で育った高城貴幸さん。バッグメーカー、繊維商社などを経て、現在は下町の工場を活用したバッグ「コヨミフェム」を企画販売する会社、トマリの経営者だ。2人は台東、足立、荒川、墨田、葛飾区の物作り支援事業「TASKプロジェクト」で出会った。

 ここから自然発生的に生まれた事業が、アクリル樹脂製無電源スピーカー「bomboo」(ボンブー)。スマートフォンを差し込むと、どこでも音楽が楽しめる。素材は透明性が高く、耐久性もある厚さ5㍉のアクリル樹脂を使用。音が良く反響するよう筒状にした。20年以上のキャリアがある職人が何度も試作を繰り返し実現した。

 パッケージはコヨミフェムが得意とする塩縮加工をナイロンに施したものを使う。素材の風合いを残し、特殊撥水(はっすい)加工を入れ、墨田区のバッグ工場で生産する。価格はポケッタブルパッケージ付きのシングルタイプスピーカーで5500円。連結タイプのスピーカーは7900~9900円。

 同プロジェクトでクラウドファンディングに取り組んでおり、3月15日までに50万円の資金調達を目標とする。資金は特許の取得、海外展示会の出展、素材開発などに充てる。

 高城さんは今回をきっかけに「町工場×感性、町工場×映画など異業種コラボに取り組んでいきたい」としている。

アクリル樹脂を特殊技術で切削した「ボンブー」の無電源スピーカー



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