広がる「働き方への柔軟な対応」

2015/03/23 14:48 更新


《知・トレンド/ニュース・サクサク》働き手の多様化する事情や価値観に応える

 FB(ファッションビジネス)業界で多様な働き方への対応が目立つ。非正規社員が多かった販売職を正社員にする動きの一方で、正社員でも希望があれば非正規社員になれるという形も現れている。全産業で労働者不足が課題になるなかで、優秀な人材を確保・維持するためには、より柔軟な働き方の提示が欠かせない。一人ひとりの働き手の多様な価値観に応えることが必要なためだ。(人材取材班)

非正規の多くは今後もパート希望

 14年の日本の雇用者総数は5432万人。正社員が3分の2を占めるが、パートタイム労働者は1651万人まで増えた。毎年、実数・割合ともに増加している。そのなかで約70%に当たる1111万人が女性だ。

 FB業界も販売職を中心に非正規社員が多いため、厚生労働省の調査に注目した。すると、パートタイム労働を選択した理由は、女性の場合、「都合の良い時間(日)に働きたいから」「勤務時間・日数が短いから」「家庭の事情で正社員として働けないから」「就業調整ができるから」などが、男性の回答を上回る。

今後の働き方の希望でも、「パートで仕事を続けたい」人が70%以上を占めるのが特徴
今後の働き方の希望でも、「パートで仕事を続けたい」人が70%以上を占めるのが特徴

 今後の働き方の希望でも、「パートで仕事を続けたい」人が70%以上を占めるのが特徴だ。このうち、現在の会社で続けたい人が、実に95%。「正社員になりたい」人は22%に過ぎない。

 06年と11年の意識の変化も興味深い。「現在の仕事に対する不満・不安」への回答では、「不満・不安がある」人が9ポイント減った。「賃金が安い」という不満が12・5ポイント減少したことが影響したようだ。どの産業でも、人材確保のために、パートタイムの賃金は考慮されてきた結果だろう。

 これらから、パートタイム労働する女性たちの優先事項は、「仕事をする時間や日数に融通が利くこと」とわかる。結婚後の家事・育児だけでなく、親の介護を含めて女性に負担がかかりやすい様子もうかがえる。社会が進歩する半面、日本の古くからの「家」の構造が変わらないなか、仕事を続けたい女性には、より柔軟で多様な選択肢が必要だろう。

06年と11年の意識の変化
06年と11年の意識の変化

性別や職種ごとの〝常識〟見直す必要

 性別や職種ごとに固定化された〝常識〟も見直す必要がある。繊研新聞社が運営するポータルサイト「繊研プラス」の会員専用のメールマガジンで働き方に関するアンケートをしたところ、「いつ辞めてくれても結構。君の代わりはいくらでもいる、と言われ続けている。そんな環境で落ち着けはしないが、逆に、いつでも辞められるんだ!と気持ちを切り替えている」(デザイナー・女性)、「販売職は日本では、営業などに上がっていくための若いうちの研修みたいなポジションだが、海外では一生続けられ、社会的にも認められている。私も近い将来やめなければいけないのだろう。残念な国だと思う」(販売職・男性)などの声があった。

 正規と非正規、店頭と本部、男女などの区分に関係なく、働き手の喜びややりがいが高まってこそ、FB業界が活性化する。

※掲載の図は総務省統計局「労働力調査」、厚生労働省「パートタイム労働者総合実態調査」から作成



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