衣服生産プラットフォームを提供するシタテル(熊本市、河野秀和社長)は、非アパレル事業者を中心としたDNB(デジタル・ネイティブ・ブランド)向けに、受注・生産・配送一体型ECパッケージ「シタテルスペック」の提供を昨年末から開始した。
同サービスはアパレル業界のブランドだけでなく、アニメやゲーム、アーティスト、インフルエンサーなど非アパレル事業者が在庫リスクを抱えず、初期費用なしで新たな服作りにチャレンジできる。
(大竹清臣)
「アパレル業界は①消費の多様化②サステイナビリティー(持続可能性)への対応③サプライチェーンのデジタル化④ディスラプターの登場による業界の破壊と創造などが進んでいるとの現状認識の下、今後増加が見込まれるDNBを中心とした新マーケットの創出によって成長戦略につながる」(福田稔社外取締役)と強調した。とくに「大量生産・大量廃棄が問題となる中、無駄な在庫を出さない同サービスによって、アパレル業界の適量生産・適量消費を推進したい」と河野社長はサステイナビリティーへの対策の重要性を訴えた。
DNBとは、DtoC(メーカー直販)と呼ばれるビジネスモデルを活用し、エンドユーザーと直接の接点を持つことで高い関係性を獲得し、データと分析力を起点に事業を成功させる新興ブランド。主なターゲット層はミレニアル世代以下が中心で、製品そのものよりも価値観に重きを置くことでユーザーの共感を得て売り上げに結び付けるのが特徴だ。
ただ、非アパレル事業者のDNBの場合、服作りのスキル・ノウハウがなく、卸し先などの販売チャンネルもない、さらに在庫問題が課題となる。それらの課題を受注生産と販売が一体化したシタテルスペックによって解決することで服作りに挑戦しやすくした。新サービスでは料金体系に初期費用不要モデルを採用するとともに、物流・決済・海外販売の3機能を追加した。
同サービスでは、最初に事業者が思い描いた服の企画をサポートし、サンプル生産する。次にサンプル商品を撮影し、専用ECサイトを開設して受注販売をする。その後、注文の数だけ生産し、商品を購入者に個別配送する。最小ロットは30枚から、納期は2週間から1カ月程度。支払い体系には売上金額に一定の料率(20%前後)をかけたライセンスフィーをシタテルから事業者へ支払う仕組みだ。
