島精機製作所 シューズアッパー用は巻き返し目指す

2018/11/01 06:26 更新


 島精機製作所は、18年度上期(4~9月)に苦戦したシューズアッパー用横編み機で、幅広いデザイン対応力などをアピールし、巻き返しを目指す。一方、無縫製横編み機「ホールガーメント」(WG)は好調が続いており、12月に完成する新工場立ち上げで供給力を引き上げる。

 シューズ向けは、ここ数年、大手スポーツメーカー中心にスニーカーのアッパーがニットに置き換わったことで採用が拡大し、好調に推移してきた。しかし、中国メーカーの廉価版や丸編み、靴下編み機などとの競合が強まり、上期は同社のシューズアッパー用横編み機は低調となり、利益圧迫要因となった。

 ニットシューズが一般カジュアルにも広がったことで低価格化も進み、編み機の価格もリーズナブルなものに流れたと見る。ただし、「数年前に中国製横編み機が台頭した時とよく似ている。あの頃いったん離れた客も、品質を求めてまた戻ってきたが、シューズアッパーでも他社にないデザイン対応などをアピールし、巻き返す」(島三博社長)構え。横編みでは複雑なデザイン表現が可能で、低価格化・同質化から改めて差別化する動きを捉える。

 またスポーツメーカーで、20年の東京五輪に向けた新商品開発の動きもあるという。今は既存モデルの生産調整で投資が停滞しているが、これらが19年以降に活発化し、回復を見込んでいる。

 上期に販売が低迷したバングラデシュ向けも、現地の生産はフル稼働で推移しているため、総選挙後の来年以降は回復するとみている。

 一方、WGは着々と販売を伸ばしており、供給が追いついていない。WGや部品を製造する新工場が12月に完成予定で、供給力を高め、需要に対応する。こちらはクイックレスポンスや完全オーダーメード、サステイナブル(持続可能性)といった切り口が拡販の好機となっており、来年バルセロナで開催されるITMA(国際繊維機械見本市)も契機にさらに販売を強化する。

「デザイン対応力で巻き返す」と話す島三博社長
シューズアッパー向けは横編みのデザイン力をアピールする


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