SHIBUYA109ラボは今夏、「Z世代のSNS利用最新動向2025」を発表しました。その調査結果では、SNSに投稿するのは「動画よりも写真のほうが多い」と回答した人がおよそ8割にのぼることが示されました。では、Z世代はどのような写真を撮りたいのでしょうか。
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撮影の際に重視されているのが「世界観」です。世界観とは「ビジュアルから読み取る視覚的な系統のこと」であり、近年は一定のモチーフにひもづく世界観である〝〇〇コア〟といった名称とともに、自分を表現する手法として扱われています。調査では55%の若者が「遊びに行く場所の世界観に合わせて服装を決める」と答えており、遊びに行く場所、服装、そしてSNSに投稿する内容が強く結びついていることが分かります。
顔は余計な情報?
グループインタビューでも、「世界観は周りの子も統一しており、自分も統一したいと思う」「自分のフィード投稿などの世界観の違うお出掛けは、投稿したとしてもストーリーズにする」といった声が聞かれており、SNSにおける世界観の一貫性を大切にし、それを保つよう行動している姿が浮かび上がります。
また、具体的にはどんな写真を撮っているのかを聞いたところ、鏡越し(56.9%)、横向き・後ろ姿(43.6%)、スマートフォンで顔を隠す(43.3%)といった撮影方法を経験した人はいずれも半数近い結果となりました。
共通しているのは、被写体の中心は「顔」ではないという点です。世界観を優先させる場合、顔が映ることはむしろ余計な情報として捉えられることもあるようです。
日々移り変わる意識
そして気になる傾向として「映え」という言葉の使われ方があります。グループインタビューでは「映えという言葉は使わない。気に入った写真を載せているだけ」という意見がありました。
実際に今回の定量調査でも、「『映え』という言葉をよく使う?」という質問に「当てはまる」と答えたのは28.3%にとどまっています。これまでのように万人に受ける映えを追い求めるのではなく、それぞれが感性に響いたものや、好きな世界観を表現できる投稿が重視されるようになっています。
このようにZ世代のSNS投稿に関する意識は日々移り変わります。企業プロモーションにおいても、的確にZ世代にアプローチをする場合は、〝Z世代はSNSで「映え」を重視するもの〟といったような固定観念を一度取り払い、彼らはどのような世界観をSNSで表現し、誰とのコミュニケーションを楽しみたいのか?それを表現するためにどんな写真を用意しているのか?といった、今のムードを把握したうえで体験設計をすることが一層求められます。
