若者たちのSNSの使い方に、変化が表れています。SHIBUYA109ラボでは15歳から24歳を対象に、2年ぶりとなるSNSの利用動向調査を実施しました。
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「ビーリアル」浮上
前回調査では、不特定多数に向けて「映える」写真を投稿し、コミュニケーションを楽しむ様子が中心でしたが、今回は限られた人とだけつながり、インスタグラムのストーリーズなど投稿が一定時間で消える仕組みを利用する〝クローズドでエフェメラルなSNSの楽しみ方〟が主流になっていることが明らかになりました。
「最も投稿をしているSNS」を単一回答で尋ねたところ、最多はインスタグラム、続いてX、そして前回調査時にはなかった写真共有アプリ「ビーリアル」が上位に入りました。ここからも、SNSの環境や若者の利用スタイルの変化がうかがえます。
また複数のSNSを〝使い分ける〟傾向は定着しています。インスタグラムやビーリアルは、リア友と呼ばれる、日常的に顔を合わせる友人と思い出を共有する場として活発に利用されています。一方でXは「閲覧が中心」が半数を占め、ネット上で知り合った友人との交流や企業アカウントのフォローに活用されていました。ティックトックについては、閲覧専用の傾向が強く、投稿は少ないもののインフルエンサーをフォローして動画を楽しむ場として位置づけられていることがわかります。
企業に隠れた場で
投稿先として特に人気の高いインスタグラムのストーリーズやビーリアルは、いずれも「24時間で消える」という共通点を持ち、さらに閲覧範囲を限定できる機能があることから、安心感を持って利用できる点が評価されています。
実際にグループインタビューでは、「ビーリアルは知らない人に投稿が見られる機会が少ないのが良い」「インスタのメインアカウントでストーリーズはそこまで投稿しない。スクショされて回されてしまう可能性があるので」という声も聞かれており、不特定多数とつながることによる気疲れや、炎上リスクを避けたいという心理が反映されていることがわかります。他人の目を気にしやすい今のZ世代にとって、不特定多数ではなく信頼できる相手と安心してやり取りできることが、SNS選びの重要な基準となっているのです。
若者の交流がクローズドでエフェメラルなSNSに移行していくことは、企業や社会にとっても大きな意味を持ちます。従来のオープンでパーマネント(永続的)な場での投稿も、引き続き彼らのコミュニケーションに欠かせないものですが、投稿ハードルが高まっていることから、投稿を促す施策の設計が非常に重要になるだけでなく、施策に対する反応が企業には見えない場所で生まれることが増えることが予想されます。
SNSを活用した施策の設計や効果測定にも、新たな工夫が求められる時代を迎えているのではないでしょうか。
