【パリ=松井孝予通信員】中国発EC「シーイン」を巡り、フランスの産業界・政治・司法とEU(欧州連合)が同時に動いている。11月19日、仏ファッション小売り12団体と約100ブランドが、同社を「不正競争」で商事裁判所に提訴した。欧州域外のECプラットフォームによる法順守コストの回避が国内の顧客を奪っていると主張し、損害額は最大30億ユーロ規模に達するとの見方もある。
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こうした緊張を背景に、シーインがパリ百貨店BHVで世界初の常設売り場を開設した経緯も、11月26日に政治の場で追及された。同店を運営するSGMのフレデリック・メルランCEO(最高経営責任者)が国民議会に召喚され、事業者選定の理由や商品の安全性、表示ルールへの対応状況について説明を求められた。若年層の集客と家賃収入を優先したSGMの判断が、産業界の反発や政府の規制強化の流れとぶつかっている。