【専門店】実店舗だからこそ売れる!丁寧な接客と独自のノウハウでファン拡大
地域密着のレディス専門店にとって、パンツは店のファンにつなげる重要なアイテムだ。サイズ感や着心地を実際に試着室で履いて購買を判断したい客が大多数のため、実店舗ならではのノウハウが必要になる。丁寧な接客を通じて店への信頼を得て、顧客の拡大や来店頻度を向上している事例を紹介する。
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試着で信頼獲得 サイズ対応がカギ握る
セレクトショップ「アンドユー」/ミセスブティック「マスヤ」
埼玉・蕨(わらび)駅西口の商店街ピアロードに面したセレクトショップ「アンドユー」とミセスブティック「マスヤ」を運営するマスヤは今年で創業72年を迎えた。
同店3代目の滝澤祥勝マネジャーは「パンツはトップに比べて、店への信用がないと売れないアイテム」と言い切る。3代続けて開業することで築き上げてきた地域商圏での信頼が同店の特徴。新興店にはないメリットが発揮される。
マスヤは2年前に店舗の建て替えを行って、「母から娘、孫と3代にわたる幅広いお客に来店して頂ける店」を実現している。店入り口のアンドユーの品揃えは、アイランドユニヴァース、ドリーム、レッドペッパーなど。マスヤはワールド、ジオン商事、アトリエドールなどを揃える。
滝澤マネジャーは「パンツは専門店にとって大事なアイテム。パンツはコートと同様に顧客にとって、購買することを決めてから来店するアイテムであり、丁寧な接客が必要な商品でもある」と指摘する。更に「日常的に着用頻度の高いアイテムであることから顧客の来店頻度も高い」という。
店内にはトータルで三つの試着室を設置しており、そのすぐ脇にそれぞれ高さ約190センチの大型の姿見鏡を配置している。「ジャケットなどトップは、試着室の中の鏡であっても目線が近い分、着用した様子を充分に確認できる。それに比べてパンツは試着室を出て、一定の距離を退いて全体を見ないとバランスを確認できない」。また、ボトムは微妙なサイズ感を合わせるために試着を繰り返すことも多い。
そのためできるだけ試着室に近いところにパンツアイテムを並べた什器を配置して、ショップスタッフが直ぐに手に取って差し出せるようにしている。
ミセス向けのマスヤの顧客に対してもデニムパンツなどを積極的に販売して購買につなげている。「60代以上のお客にとって、デニムパンツは〝作業服〟というイメージがある。しかし、最近の優れたストレッチ性を発揮するデニムパンツをお薦めして試着して頂くと、その履き心地の良さに驚かれることが多い」という。また、ストレッチパンツによる小尻効果や脚長見えの補整効果も訴求ポイントとして発揮している。
滝澤マネジャーはアパレルメーカーへの要望として「イレギュラーサイズ、特に小さいサイズのパンツ企画があれば顧客の拡大につながる」という。レギュラーサイズはECでも購買可能だが「イレギュラーサイズの商品をリアル店舗に求める層は意外に多い」として、今後の商品開発に期待している。
(繊研新聞本紙19年2月7日付)