“勉強の秋”到来 英語の習得法教えて!

2016/11/04 05:11 更新


【センケンコミュニティー】

 秋到来!食欲の秋、スポーツの秋とも言いますが、秋は気候が穏やかで、勉強もサクサクはかどる季節です。というわけで、今回のセンコミのトピックは〝お勉強〟です。

   グローバル化が進む現代、仕事上で必要に迫られて、英語の学習に力を入れているという方や企業は非常に多いのではないでしょうか。「苦労して英語を体得した!」というファッション業界で働く方々に、経験談やノウハウを語っていただきました。

 

 

サマンサタバサプレスマーケティング部上席執行役員 世永亜実さん

ランチタイムに英会話レッスン

 

世永亜実さん
世永亜実さん
 

メールで語彙増やす

 「全然話せなかったですよ」と話すのは、サマンサタバサプレスマーケティング部上席執行役員の世永亜実さん。ミランダ・カーをはじめ、海外のセレブをブランドミューズに抱える同社では、外国人スタッフを交えてのミーティングや国外での撮影も頻繁に開かれる。世永さんが英語力を身につけねば、と痛感したのも、まさにそんなシーンに直面したからだ。

 14年前、入社したてのころに、「ヒルトン姉妹をサマンサミューズに起用するため、1人でニューヨークに行って欲しいと言われて」。通訳はいたものの、現場では「伝わらないもどかしさを感じました」。帰国後、ランチタイムに会社近くのカフェに英会話の講師を呼び、レッスンを始めた。週1、2回。「子供が産まれて時間が取れなくなるまで、3~4年は続けたと思います」。

  その後は、仕事をする中で自然に上達させていった。世永さんが1日に受信するメールのうち、3分の1が英文メール。やりとりの中で、「こういう時はこんな言い回しをするんだ!と発見があり、使える語彙(ごい)が増えていきました」。

 今は、ミーティングなどで相手の言っていることはほぼ理解できる域にまで上達。世永さんは「文法なんかは間違っているかもしれませんが、言いたいことは伝えられるようになっています」という。

 〝間違っていても〟、というのがポイント。「恥ずかしがって話さないのが一番ダメ」と力説する。「お会いしてみると、実はドイツ出身だったりと、意外にネイティブの方は少なかったりします。母国語でない同士、お互い間違っても伝わればいいよねって感じになりますから」。

 今、会社も英語教育に力を入れており、学習用スマートフォンアプリを導入する予定もあるとか。ますます語学力に磨きがかかりそうだ。

ブランドミューズとのコミュニケーションにも英語は必須(サマンサタバサプレスオフィシャルアカウントInstagramから引用)
ブランドミューズとのコミュニケーションにも英語は必須(サマンサタバサプレスオフィシャルアカウントInstagramから引用)


「アヤメ」デザイナー 阿賀岡恵さん

語学とはその国の文化を知ること

 

自分のブランドを海外でも販売している阿賀岡さん
自分のブランドを海外でも販売している阿賀岡さん

 

ラジオを聞き流すのが効果的

 

 26、27歳くらいのころ、独立して自分のレッグウェアを始めたい、海外でも販売したいと考えた阿賀岡恵さん。「語学は避けて通れない」と、会社を退職後、ワーキングホリデーで1年間、英国へ。いきなり飛び込んだため、「最初の3カ月は何にも分かりませんでした」と振り返る。下宿先のおばちゃんと仲良くなり、午前中に語学学校に通い、午後はビスポークサロンで働く日々を送った。

 現地に住むことで、言語の背景にある文化に触れることができた。しかし、語学力自体はさほど上がらないまま帰国。あまりの「達成感の無さ」に、ようやく本気で英語に向き合い始めた。

 まずは、学生時代に勉強しなかったツケを痛感しつつ、文法をたたき直した。中でも「英国の『グラマー・イン・ユース』というテキストは、バイブルのような本」だ。「have to」と「must」の使い分けなど、ニュアンスの違いも分かりやすく解説されている。「文法は本当に大切。その国を理解することにもつながる」。日本語の言い回しに国民性が出るのと同じだ。

 会話力は また別のステップ。大事なのは「耳を鍛える」こと。色々試したが、「BBCとかCNNといった放送局のインターネットラジオをずーっと流すのがおすすめ」。習慣にしていると、「あるとき耳がスポンと抜けて聞き取れるようになる」。

 あとは仕事でも恋愛でも、情熱を注ぐものが絡むと上達が早い。「私の場合は、海外の人にも商品の良さを伝えたいとか、お金を回収したいとか。特にお金のことは必死になるから、自然と単語も出てくる」と笑う。

 今も仕事で海外とやり取りすることが多く、入ってくるメールの半分は英語。「今くらいに英語ができるまで、10年かかった。でも逆に言えば、始めるのが何歳であっても、あきらめなければ話せるようになるんです」

 

“教材”の数々。英国で人気のコント集のDVDもお気に入り.jpg
“教材”の数々。英国で人気のコント集のDVDもお気に入り

ファッションジャーナリスト 益井祐さん

子供向けアニメで耳を慣らせ!

益井祐さん
益井祐さん

 

おすすめは「シンプソンズ」


 益井祐さんは、繊研新聞をはじめ様々な雑誌やウェブサイトに記事を書いているファッションジャーナリスト。現在、「イギリスと日本で過ごす時間は半々くらい」で、パリやミラノのファッション・ウィークではスナップの常連だ。その発信力や英語力が買われて、ファッション新興国からも頻繁に招待を受けている。

 英国に渡ったのは00年。「日本で大学に通っていたけれど、もともとファッションの勉強をしたいって思っていたから、大学を中退してロンドンの大学のファッション科へ行ったの」。在学中に、当時熱狂的な人気を誇っていたロンドンのセレクトショップ、パイナルアイに通い出し、販売や買い付けを手伝うようになった。それがこの業界でのキャリアのスタートだ。


 英語学習にまつわる苦労話を尋ねたところ、「そもそも英語の成績は良かったし、日本の大学では英米文学専攻だったから、渡英してからも苦労した記憶はあんまり無いのよね」と、なんともうらやましい答え。しかし、そんな回答では全く参考にならない。何か自分なりの鍛練法が一つくらいはあったはずだと粘ると、「『シンプソンズ』のアニメをよく見てたから、それのおかげかも」と返ってきた。

 聴覚障害者向けに英語字幕の出るアニメを日々見る中で、聞き取る力と語彙力を高めたという。「勉強のためじゃなく、好きだから見ていただけ。でも振り返ってみると、あれが一番効果があった気がする」という。

 「自分が好きな番組なら何だっていいから、英語を上達させたいなら見るといいんじゃない? たとえば『テレタビーズ』だっていいし…いや、やっぱりダメだ、あいつら(テレタビーズ)はあんまり言葉をしゃべらないから……」。皆さんもテレタビーズ以外でお試しあれ。

バイリンガルの発信力を買われ、各国のファッションウィークからひっぱりだこ。写真はモスクワのファッションウィーク中(益井さんのインスタグラム投稿から)
バイリンガルの発信力を買われ、各国のファッションウィークからひっぱりだこ。写真はモスクワのファッションウィーク中(益井さんのインスタグラム投稿から)


〈番外編〉セブ島留学って効果あるの?

繊研新聞記者 五十君花実

 英語に苦しむ本紙記者が体験

 繊研新聞社の記者という仕事も、英語が必要となる場面は少なくない。それにもかかわらず、これまで初級のトラベル英会話だけでやり過ごしてきた。しかし、入社11年目にしてようやく一念発起。この夏、本気で英語を習得しようと決意し、短期語学留学に出掛けた。

 行き先はフィリピン・セブだ。リゾートのイメージが強いが、セブは今、英語学習の島としてもアツい。アメリカ英語を流暢(りゅうちょう)に話すフィリピン人講師とのマンツーマンレッスンが格安で受けられるのだ。

 セブには無数に語学学校があり、超スパルタから海辺のリゾートホテルに滞在するプランまで、各人の好みに合わせて選択できる。私の場合は2週間と短期だったので、時間を最大限活用するためにスパルタ学校に入学。レッスン代(1日に4時間)、寮費(3食含む)、航空券等含めて、約20万円だった。

 学校には、夏休みの高校生からベテラン弁護士まで、様々な人がいた。レッスン時間以外も皆早朝から深夜まで自習するので、怠惰な私もつられて勉強するように。この環境に対してお金を払ったとも言える。

 たった2週間だったが、学習のコツはつかんだ。帰国後も、時にサボりつつではあるがスカイプでの英会話レッスンなどを重ねた結果、TOEICの点数は、留学前よりも245点上がった(留学前が低すぎたという見方もある)。

 だが、テストの点は上がっても、やはりしゃべったり聞いたりは全然できない。先日も、東京コレクションに来日していたイタリア人ジャーナリストに英語で話しかけたところ、固有名詞以外何を言っているか全く理解できず、撃沈だった。英語学習の険しい道は続く……。

留学先の先生(左)と卒業式の日に
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留学中、苦楽を共にした教材たち(一部)
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