岡山市の染色加工業セイショク(旧社名=正織興業、姫井明社長)は、規格外となった布をアップサイクルした素材「NUNOUS」(ニューノス)で新たに厚さ0.6ミリの「ニューノス・スキン」を開発した。ニューノスはC反などを積層し固め、カットすることで木目やマーブルのような表情が出る独自素材。ニューノス・スキンは、革代替としてバッグや財布などの雑貨や衣料品の部分使いなどアパレル分野の広がりも見込む。
染色工程で発生したC反などを再利用できないかと13年ごろから開発を始め、当初は「SAN」と名付けていたが名称を変更した。サステイナブル(持続可能)かつオンリーワンの素材としてインテリア用途からスタートしており、厚みのあるタイルタイプは既に都内の高級ホテルなどの室内装飾として採用されている。
ニューノス・スキンは、生地を重ねて平行にスライスすると生地の微妙な凹凸に応じて突板のような独特の模様が出る。重ねる生地の種類や色合いによって異なり、スライスする場所によって変わるため、一つとして同じ色柄が出ない点も特徴だ。キャンバス地のようにしっかりとした手持ち感で、型崩れもしにくく、縫製も可能。0.3ミリタイプも開発中で、壁紙などでの採用を見込んでいる。綿や綿・ポリエステルなど「撥水(はっすい)加工していない織物ならほとんどのものが加工可能」なことから、不要になった生地をニューノスにアップサイクルし、製品に再生する取り組み先企業も募集している。
サイズは最大で460ミリ×230ミリ。製造装置の一部を自社で持ち、年間数万枚の生産能力がある。欧州高級ブランドからもアップサイクルの手法の一つとして引き合いが来ている。認知を高めるため、4月からはクラウドファンディングサイト「マクアケ」で、ニューノス・スキンを活用した雑貨小物など製品販売を開始する予定だ。
