三陽商会の紳士靴ブランド「三陽山長」は今春、これまでの同ブランドの中で最高価格となる「零」(ぜろ)シリーズ(税込み33万円)を出す。アッパーに継ぎ目が全くない、同ブランド史上で最高難度という「ゼロシーム」仕立てが特徴だ。
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ファーストコレクションでは、ホールカット「壱」(いち)、ストレートチップ「弐」(に)、タッセルローファー「参」(さん)の3モデルを、三陽山長7店と三陽商会公式オンラインストアで販売している。

継ぎ目のない零シリーズの製作には、細部にわたる完璧な仕上げが要求される。一枚革のホールカットデザインは、わずかな不備も許さず、しわやゆがを防ぐために精密な作業が必要となる。
日本の紳士靴市場では、高級海外ブランドと国産ブランドの間に明確な価格帯の差が見られる。海外ブランドでは20万円前後の価格帯が受け入れられる一方、国産ブランドは主に10万円以下の価格帯に集中していた。
こうした中、三陽山長は19年に「匠」シリーズ(12万1000~14万3000円)、21年に「謹製」シリーズ(16万5000~17万6000円)、23年に「極」シリーズ(17万6000円)といった高価格帯シリーズを発表し、上質を求めるビジネスパーソンから好評を得てきた。特に最近は高価格帯製品の支持率が高まり、「極」「匠」シリーズの24年の売り上げは前年比44%増と堅調だ。