大手百貨店の10月売上高 全社が前年上回る コートなど実需品動く

2021/11/04 06:25 更新


 大手百貨店の10月売上高(既存店ベース、速報値)は全社が前年同月実績を上回った。緊急事態8宣言の全面解除で入店客数が上向き、8、9月に比べて大きく改善した。月後半からの気温低下とともに、コートなど防寒衣料が動いた。ただ、売り上げの伸びは1ケタ台の小幅にとどまっており、消費回復には程遠い。

 三越伊勢丹は伊勢丹新宿本店が13%増、三越日本橋本店が7%増、三越銀座店が11%増だった。ラグジュアリーブランドや時計、宝飾品が引き続き好調だったことに加え、ブルゾン、コート、ブーツなど冬物の実需品が売り上げを伸ばした。「外出が増えたことで衣料品や雑貨などを買い求める動きが活発だった」という。

 高島屋は日本橋店、新宿店が2ケタ増となり、大型店が軒並み前年を上回った。特選衣料雑貨が20%増、美術品が2倍で、高額品が伸びた。低迷が続いていた衣料品は婦人服が4%、紳士服が1%増え、婦人のコートやドレス、紳士のスーツ、ワイシャツ、ネクタイの動きが良かった。「食事会や発表会、お受験などハレの場に向けた需要が上向いた」という。

 大丸松坂屋百貨店は、ほぼ全ての商品領域で前年を上回った。そごう・西武は西武池袋本店が5%増で「ブライダル関連のドレスやジャケットなどが良かった」という。阪急阪神百貨店は阪急うめだ本店が8%増、近鉄百貨店はあべのハルカス近鉄本店が8%増だった。

 コロナ前の19年比でも増収を確保した。19年10月に消費増税の反動減があった影響で、18年10月と比べると1割減だった。入店客は前年に比べて減少した店舗がほとんどで、新型コロナウイルスの感染状況が落ち着いてきたことから「目的買い、まとめ買いが目立った」という。



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